Miss Grit『Imposter』

「紛い物」であるが故の苦しみとオリジナリティ

 米ミシガン州出身のSSWによる、2年1ヶ月ぶり2枚目のEP。
 白人が多数を占める米ミシガン州で女性として生きること、韓国人と白人のミックスであることの息苦しさが満ち満ちたEPだ。なんてことない属性を負い目のように感じさせる何かについての描写が、全6曲22分の中で渦を巻く。
コロナ禍以前に練られたサウンドは前EP『Talk Talk』のベッドルームポップ然とした雰囲気から一歩開けた様子。雲間に融けていきそうな声はそのままに、ギターリフがよりダイナミックに、前面に展開する曲が増えた。冷静と情熱の間なバランスはさながら、やるせなさを吐き出せない彼女自身の状況を指し示すよう。あえて整えていない構成も、彼女が感じる不安を端的に表している。
 本作のタイトルは『Imposter』。その名の通り自らを「紛い物」と感じるからこその辛さや諦めが滔滔と唱えられる本作において、最後の最後、消え入りそうな声でリフレインする「私を笑わせてくれ」の一言にはやはり胸が痛む。ただ皮肉なことに、この本気とアイロニーが綯い交ぜになったメッセージは「紛い物」と感じている者固有の視点でもあろう。これから彼女が描き出すものを、わたしたちは注視しなければならない。

  • Review