楽しけりゃいい!とも思うけど
4人組ヒップホップグループによる、メジャー1stフルアルバム。
昨年から北米のポップシーンにおいて、若いミュージシャンの作品の中に2000年代ポップパンク〜ロックのテイストを持ち込んだものがいくつか見受けられた。それらは「ゼロ年代回帰」と呼ばれもしたが、少なくとも本人は時代の流れなど考えていないはずで。単に自身の子供時代に流れていた楽曲のテイストを反映させただけ、というのが私の持論だ。
本作もまた上記の流れと軌を一にするように、無邪気なほど2000年代のモードを引き連れている。なにしろORANGE RANGEやスキマスイッチ、サンボマスターなどのサンプリングカバーが、これでもかとぶち込まれているのだ。しかし、この方向が功を奏しているかといえば微妙で。ホーンをあしらったM4やM10などのモダンなプロダクションと比べると音像の違いが如実に出るし、高い知名度を持つ楽曲のカバーが作品全体の3分の1を占めるため、どうしても宣伝っぽさが前に出てしまう。大衆性があって底抜けに楽しく、それでいて引っかかりあるパンチラインを量産できるグループはそう多くない。素晴らしいスキルを持っていると思うからこそ、次は全曲オリジナルのアルバムを聴きたい。